冷戦終結とともに、鉄に代わって半導体が産業のコメと呼ばれるようになりました。半導体はパソコンやスマートホンといった、あらゆる電子機器にとって必要な素材です。1980年代、日本の半導体は世界のシェアで約50%を誇っていました。1991年に日米半導体協定(1986年)が改定され、日本の半導体市場における外国製のシェアを20%以上にすると約束しました。現在、日本政府は、経済・社会の持続的成長を実現するため、国内での生産体制強化を目指しています。
宮城県大衡村に、SBIホールディングス(HD)と台湾の半導体受託生産メーカー「力晶積成電子製造(PSMC)」が共同で半導体工場を建設する予定です。大衡村の形状や広さがふさわしいこと、県内には東北大学があり、優秀な人材を確保できることが、全国31の候補地から選定された主な要因です。
昨年12月1日に、建設と創業が円滑に進むように、県産業立地推進課内に「半導体産業振興室」を新設しました。大衡村からも派遣されています。
5月上旬、熊本県庁を訪れ、熊本県商工労働部産業振興局企業立地課半導体立地支援室の担当者より、半導体産業集積強化に向けた取組について伺いました。県庁内に全庁横断組織を設置し、推進・支援体制を整備しています。


💻くまもと半導体産業推進ビジョン
~半導体インフラを支え、挑戦し続ける熊本~(2023年3月)
【熊本県】
〇JASM第1工場の概要(第2工場建設も決定)
建設場所:菊池郡菊陽町原水
建設開始:2022年4月
稼働開始:2024年末まで
設備投資額:約1.2兆円
雇用予定者数:約1700人
・400人超はTSMC台湾からの駐在員(家族含め約750人が来熊)
・200人はソニーより派遣(台湾での研修後に着任済)
・700人は社員(350人は新規採用で350人中途採用)
・400人はアウトソーシング
月間生産能力55000枚
・経済波及効果は10年間で6.9兆円
〇ハード整備に係る喫緊の課題
1.交通渋滞解消のための道路整備(8割が自家用車で通勤)
2.空港アクセス鉄道の整備
3.下水処理場の整備
4.新規工場用水の整備
〇環境保全に関する取組
新たな半導体関連工場の稼働前後での環境の変化を把握し、専門家委員会で結果を検証
・地下水保全対策
熊本は日本一の地下水都市(市民の水道水の100%が地下水)
・環境保全対策
環境モニタリング(水資・大気の拡充)
→法令等に基づく水質・大気の監視に加えて、新たに「規制外の金属類や化学物質を調査」
〇県と半導体関連企業が締結した立地協定 49社
(投資予定総額約1兆2393億円、雇用予定総数3537人)

【宮城県】
〇大衡村半導体工場の概要
建設場所:第二仙台北部中核工業団地(約17万ha)
建設開始:2025年中
(2024年度内に「みやぎ半導体産業振興ビジョン」策定)
稼働開始:2026~2027年操業開始、2029年本格的稼働
設備投資額:約8000億円
雇用予定者数:約1200人
・450~500人規模でスタート(半数を台湾から即戦力を派遣)、本格化稼働で1200人規模
月間生産能力40000枚
・年間1500~2000億円ほどの売り上げを見込む
・県内総生産額10兆円の維持が可能
〇令和6年度当初予算(半導体関連)の主な事業
企業誘致活動強化費(新規事業) 3500万円
国外半導体人材生活支援費(新規事業) 1430万円
半導体人材の育成・確保 約1億750万円
産学連携推進費 約5070万円
県内ものづくり企業連携促進費 約3900万円
現地人材サポート体制構築費(新規事業)約1000万円
3日間に及ぶ会派視察のテーマは、半導体・いのち・エネルギーでした。宮城県内の調査を継続し、県民の皆様へお返ししてまいります。
