米国国務省IVLP④アイオワ州アイオワシティ
- しずか 平岡
- 1 日前
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今回は、第三の訪問都市であるアイオワ州アイオワシティで行われたInternational Visitor Leadership Program(米国国務省主催)についてご報告します。アイオワシティは、19世紀中頃まで州都でした。州内最古の州立アイオワ大学(The University of Iowa)があり、学生都市として活気があります。
ブログ「米国国務省IVLP①プログラムについて」
ブログ「米国国務省IVLP②ワシントンコロンビア特別区」
ブログ「米国国務省IVLP③フロリダ州ジャクソンビル」

アイオワシティ概要:
面積:65.4㎢(大崎市田尻町65.59㎢)
人口:約74,600人(登米市約73,000人)
位置:北緯41度39分(函館とほぼ同緯度)
天気:夏は暖かく高湿、冬は寒く風が強く降雪が多い
災害:洪水や竜巻が多い
*洪水(1993年・2008年)
アイオワシティとシーダーラピッズ地域では壊滅的な洪水に見舞われた。アイオワシティとアイオワ大学は家屋を移転し、都市を川の環境に適応させた。シーダーラピッズは、将来の洪水被害を軽減するため、7億5000万ドル規模の洪水制御システム計画に着手している。
Cedar Rapids city leaders celebrate completed floodgate(水門の完成)
*雷雨(2020年)
シーダ―ラピッズ地域を中心に、アメリカ史上最も被害額の大きい雷雨災害に見舞われた。アイオワ州のトウモロコシと大豆の作物の約4分の1とシダ―ラピッズの樹木の約3分の2が壊滅した。
アイオワ州は全米を代表する農業州
(全米第1位:トウモロコシ・豚肉、全米第2位:大豆生産)

アメリカ初「ユネスコ文学創造都市」に認定(2008年)
出版物の質の高さと多様性、文学教育の優秀さ、文学イベントの卓越性、地元メディアによる文学の振興
ドイツ人アマナ植民地を設立(1854年)
1846年にはアーミッシュが入植。いずれもユートピア的な社会として知られる。その後、ボヘミア系、スカンジナビア系、チェコ系などの人々が移住した。


プロジェクトタイトル:
Emergency Preparedness Planning for Senior Municipal Staff
(自治体上級職員のための緊急事態対策計画)
アイオワ州アイオワシティにおける研修テーマ:
緊急事態への備えにおける軍民協力
高齢者や障害のある人々のための緊急時対応計画
連邦、州、地方自治体の各機関間の連携
【1】 アメリカ陸軍工兵隊ロックアイランド地区
トピック:
国家レベルの緊急対応計画に影響を及ぼす可能性のある地域災害への備え
・連邦水資源プログラムを管理。洪水リスク管理、緊急事態対応および水供給に重点を置き潜在的な災害への備えを行っている。
面会:
Ms. Sarah Jones(Chief, Emergency Management Division)
Mr. Matthew Fletcher(U.S. Army Corps of Engineers)
内容:
・ワシントンD.C.に本部がある。ロックアイランド地区では、アイオワ州東部の3分の2、イリノイ州北部半分、ウィスコンシン州南部およびミネソタ州の一部、ミズーリ州北東部を含む約20万平方キロメートルの地域で連邦水資源プログラムを管理。
・FEMA(連邦緊急事態管理庁)をサポートする活動。小さい組織(7名)であることから行動がすぐに起こせる。
・計画を策定し、州と地元の人たちで訓練を行う。地元のコミュニティが指示を出し、アメリカ陸軍工兵隊は指示のみを出す。

【2】Moline Police Department(モリーン警察署)

面会:Mr. Darren Gault, Chief of police
内容:
・84人の警察官が勤務。年間5万件の通報に対応。犯罪率は低い地域である(2024年に5件の殺人事件が発生)。
・スワッティング(swatting)
警察の緊急通報用電話への虚偽の通報をすること。特に、School Year(学年の始まり)に増える。異常事態が発生した時にはSNSに投稿されることがあるので参考にしている。
・アメリカではMental health crisis(メンタルヘルス危機)が深刻である。同一人物から1日に10回連絡が入ることも。他の機関につなぐようにしている。

【3】Melrose Meadows Retirement Community(高齢者向け住宅)
1966年より運営されており、アイオワシティ地域の方々のケアにおいて50年以上の経験を有する。パンデミックや自然災害に見舞われる中で、入居者の安全と健康に関する前例のない課題に直面した。思いやり、敬意、熱意、気づき、チームワーク、励ましといった価値観を中核にしている。

トピック:
高齢者に対する新型コロナウイルス感染症および重大な自然災害への対応における課題と対処方法ならびに未曾有の状況下における組織としての財務的な備え
面会:
Ms. Jody Thomas, Executive Director
Ms. Meghan Adam, Melrose Meadows Retirement Community
内容:
・COVID-19の時には毎日食事を届けた。マスクをつけていれば外出も認めた。
・パンデミックの際は、州兵が必要物資を届けてくれた。
・COVID-19の感染により死亡した場合は、家族の面会を認めた。
・竜巻の時には地下へ避難。主に赤十字社が支援してくれる。火災の時には部屋に待機。
・家族観については文化的背景が影響するため、家族の老いとの向き合い方は異なる。
【4】 Cedar Rapids Joint Communications Agency(CR-JCA)
シダーラピッズ共同通信機関
シダーラピッズの警察、消防、動物管理官の出動を担当。また、法執行機関、消防機関、緊急医療機関など関連機関との連携も行っている。CR-JCAの通信指令員は、国際緊急通信アカデミー(IAED)を通じて、緊急警察、消防、医療通信における資格認定を受けている。

トピック:
市レベルでの日常業務、および災害や緊急事態管理時の対応と取り組み
内容:
・警察官や消防士が地域のパトロールを行い、誰が助けを必要としているかを把握。
・2008年の洪水後、州が病院を移転させた。
・災害後は警察と消防署がどのような教訓を得られたかを振り返る
・災害時の対応拠点となり得る宗教施設(教会等)との連携が重要


【5】Briarwood Health Care Community
ブライアウッド・ヘルスケア・センター:
長期入所を必要とする方々に対し、質の高いヘルスケアおよび治療サービスを提供することに尽力。また、病院から退院後に以前の自立した生活水準へ戻ることを目指す方々に向けて、高度な治療サービスを提供している。

トピック:
緊急時において入居者に最善のケアを提供すること、そしてこれらの災害が発生する前にどのように備えるか
面会:Ms. Kristin Solberg, Owner and Administrator
(作業療法士、介護施設管理者)
内容:
・職員の待遇がよいためサービスの質が低下することはない
・年に2回防災訓練を実施(竜巻、銃撃等からの避難)
・竜巻警報発令から30分以内に発生。屋内に入り、窓から離れる。