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執筆者の写真しずか 平岡

視察報告⑤未来への種を育む対話の場「未来会議」(福島県)

更新日:6月8日

今月、福島県いわき市、双葉郡(双葉町・浪江町)、南相馬市を訪れました。前回訪問したのは、2022年8月30日、双葉町の町民が11年5ヵ月に及ぶ集団移転から帰還がゆるされた約1週間後のことでした。今回は、新たなまちづくりに向けて取り組む方々のお話を伺いました。


≪特定帰還居住区域復興再生計画≫

目標: 2029年12月31日までに、帰還意向のある住民全員の帰還居住区域への帰還を実現し、町の復興及び再生を果たす。



≪双葉町の居住人口≫

2011年3月11日時点   7140人

2023年11月30日時点 5578人(住基人口)、101人(町内居住者)



一般社団法人「ふたばプロジェクト」常駐 (駅舎憩いのスペース)

ダルマ市が12年振りに開催(2023年1月)

≪浪江町の居住人口≫

2011年3月11日時点  21,434人

2023年11月30日時点 15,383人(住基人口)、2078人(町内居住者)



震災遺構「浪江町立請戸小学校」 全員が大平山へ避難し、助かった




≪未来会議≫

いわき市において「未来会議」の副事務局長 霜村真康副住職と地域の方からお話を伺いました。


東日本大震災に伴う原発事故は、被災状況や価値観の相違などによって、分断や軋轢を引き起こしました。避難者と避難先の住民の間では、誤解から誹謗・中傷が生じたのです。例えば、避難者に向けられた「税金を支払わないで公共サービスを受けている」という言葉。実際は、原発避難者特例法により、避難先自治体には特別交付税が交付されています。また、住民が急増したことにより、病院や道路の混雑、賃貸物件等がなくなったため不満を漏らす人も出てきたといいます。原発事故後の避難政策は、住民票を移さなければ避難先自治体の自治に関われない仕組みになっているため、避難先では避難者が声を上げる場がありませんでした。


2012年秋、東日本大震災復興支援財団による子ども被災地支援法の聴き取り対話ワークショップに参加した数名の有志により、「未来会議」開催に向けての動きは始まりました。一人ひとりが一歩を踏み出すきっかけとなるためにも、異なる体験、違う考えをもつ者たちが集まり、膝を突き合わせてじっくりと話を聞く場が必要なのではないかと考えたのです。


「互いを伸ばし合うことが、未来への種を育むことに繋がるのではないだろうか?多様な声に耳を傾け、自分に出来ることを考える時間をもちたい。」


2013年1月、くつろぎながら誰もが参加できるワークショップ形式の対話の場「未来会議」はスタートしました。地域も年代も越えて様々な職業や立場の方々が集まる対話の場が誕生しました。



当事者でないと語る資格はないのではないか。言葉にすることで誰かが傷つくのではないか。様々な想いによって私たちは口を閉ざしてしまいます。しかし、「議論は終わらせるために行うけど、対話は続けるためにするもの。」という考えから、未来会議の活動は続いています。


対話が未来をつくります。そのために心に留めておくことは、次の2点。


「相手を否定しない。」

「断定しない。」


日本の政治家は、未来をつくるための対話ができているでしょうか。


「虚構の美辞麗句」

「忖度」

「茶番劇」

「結論ありきの出来レース」


もし政治の場に「対話」が生まれたのならば、どのような未来が待っているでしょうか。「未来会議」の取組についてお話を伺う中で、機能不全に陥っている日本の政治に責任を感じました。人権保障と民主主義を実現するためには、住民自治が不可欠です。政治家に求められていることは、聴く力・対話力ではないでしょうか。政治が停滞している今、新たな政治のスタイルを模索してまいります。

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