今回、県が主導する病院再編構想のはじまりは、2019年にさかのぼります。厚生労働省は、限られた医療資源をそれぞれの地域で真に活用する医療を構築するように都道府県へ要請しました。
💻「当面の医療構想の推進に向けた取組について」(2019年9月27日厚生労働省)
🔵地域医療構想の目的(P3参照)
2025年に向けて、地域ごとに効率的で不足のない医療提供体制を構築すること
→分析だけでは判断しえない診療領域や地域の実情に関する知見も補いながら、地域医療構想調整会議の議論を活性化し議論を尽くし、2025年のあるべき姿に向けて必要な医療機能の見直しを行うこと。
💻「平成29年度病床機能報告に基づく分析」(2019年9月26日厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000551037.pdf
🔵公立・公的病院全国424リスト公表(P5-6参照)
→各医療機関 が担う急性期機能やそのために必要な病床数等について再検証を行うこと。
(必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではない)
2020年8月4日、村井嘉浩知事は、東北労災病院(仙台市)と仙台赤十字病院(仙台市)、県立がんセンター(名取市)の3病院の再編に向けた検討を始めると発表しました。前年2019年12月、がんセンターのあり方を議論する検討会において、他の医療機関との連携・統合についても検討を行うべきであるとの報告書をまとめていました。
💻「県立がんセンターのあり方検討会議について」(宮城県)
統合によって病院事業を好転させたい県に対して、2つの病院が市外へ移転する仙台市の考えが対立することは当然の流れだと言えます。そこで必要なのが、県による仙台市への情報開示や住民への丁寧な説明です。約3年半、仙台市側の申し入れに十分に対応できずにきたことに、大きな課題がありました。今年2月末より協議がようやく開始しましたので、動向を見守りたいと思います。
💻「仙台医療圏の病院再編に関する仙台市との協議について」
💻「4病院の再編に係る本市の対応について」
次回のブログでは「県立精神医療センターの移転」について取り上げます。そもそも公立・公的病院全国424リストの中には県立精神医療センターは含まれていませんでした。しかし、2021年9月に3病院再編から4病院再編へと対象を拡大しています。県は、今月中に、東北労災病院と県立精神医療センターの合築に関する基本合意の締結をめざしています。私はこれまで移転反対の立場にある当事者の方々とお会いしてきました。障がい者権利条約のスローガンは「私たち抜きに、私たちのことを決めないで」です。私は、当事者の声を最大限に尊重した構想の策定を訴えており、現段階における構想案には反対する立場にあります。