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視察報告⑭文教警察委員会(教育)

  • 執筆者の写真: しずか 平岡
    しずか 平岡
  • 4月8日
  • 読了時間: 7分

更新日:4月8日

宮城県議会には6つの常任委員会が設置されています。議員1年目は文教警察委員会に所属しました。所管事項は、教育委員会及び公安委員会の所管に属することです。私は元中高の教員として、現場の視点から教育をよりよいものとしたいという一心で、議会や委員会に臨んできました。今回は、委員会における教育関連の視察についてご報告いたします。


〇スポーツネットワークかくだ「部活動の地域移行について」

部活動の地域移行は、少子化による部活動の存続を図りながら、教員の負担を軽減することを目的に進められています。2023年度より実証実験を開始した角田市にて調査を行いました。



2011年 「スポーツ基本法」制定

2017年 「第2期スポーツ計画」策定

2019年 角田市・角田市教育委員会・笹川スポーツ財団 協定締結

    「スポーツネットかくだ」(スポネットかくだ)設立

2020年 スポーツ庁「地域スポーツコミッションに認定」

    (スポーツによる地方創生やまちづくりの担い手になる組織)

    スポーツ庁政策課学校体育室「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」

    →専門チーム「部活動チーム」発足し、2022年3月から1年間計7回の会議を開催

2023年 「角田市における部活動の地域移行推進基本計画」策定

2026年度まで休日の部活動の完全地域移行へ


●地域移行に際し、最も難しいことは専門指導者の確保である。委託事業者との協議を重ねると共に、スポーツ協会を通して、直接各協会の代表者とも説明の場を設けて指導者の確保に努めてきた。特に、スポーツ少年団の指導者、スポーツ(体育)協会の加盟団体の方々の協力なしには解決できない。

●総括コーディネーター(民間)と学校現場の間で部活動の進め方について意思疎通を図ることが肝要である。


💻「スポネットかくだ」設立の詳細経緯(笹川スポーツ財団)

💻【担い手】「地域スポーツコミッション」の設立・活動の支援(スポーツ庁)

💻スポーツネットかくだ「部活動チーム」発足の背景(笹川スポーツ財団)



〇学びの多様化学校ろりぽっぷ小学校「ろりぽっぷプランについて」



東北唯一の学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の小学校です。2024年度4月に1年生を含む5名の新入児童が入学し27名の児童でスタートしました。学園長の加茂光孝先生より、ろりぽっぷ学園の保育理念・教育理念「大人も子どもも育ちあう学園を目指してこどもの心に寄り添う保育」に基づく教育活動についてお伺いしました。イエナプランを活用した授業を展開しています。イエナプラン教育では、教室は子どもたちにとって居心地の良い「リビングルーム」のようであるべきだとされています。安心した表情で伸びやかに過ごしている児童の姿からよく伝わってきました。

私が特に注目したのは「人間キャリア科」(朝・帰り各15分)です。児童生徒のコミュニケーション能力の向上を図ることを目的として行うもので、心理教育やカウンセリングスキルを活用して、人間関係づくりを学びます。時には、児童に悩む保護者をまじえた授業を計画し支援を行うこともあるそうです。子どもたちの中には、小学校入学後、環境に適応できないことがあります。ろりぽっぷ学園の教育理念である「心に寄り添う」ことが求められているのではないでしょうか。


💻「学校法人ろりぽっぷ学園」

💻「イエナプラン教育とは」(日本イエナプラン教育協会)





〇仙台市立長町中学校「在籍学級外教室『ステーション』について」



仙台市では、児童生徒の多様な学びの機会を確保するため、登校に不安や悩みを抱える児童生徒に対して「ステーション」を設置しています。教職員が継続的に関わることにより、将来の社会的自立に向けた支援を行っています。仙台市教育局学校教育部教育相談課より、ステーションの取組についてご説明いただきました。仙台市では、令和6年度時点で小学校10校、中学校35校のステーションが設置されています。自主学習を行うだけの別室ではなく、個々の指導計画に基づいた指導がなされ、評価材料に基づき成績も算出されます。児童生徒にとって安心できる居場所確保のため、今後も更なる拡充と運営の充実を図る方向で進められています。


💻不登校対策(COCOLOプラン等)について(文部科学省)

💻「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について(通知)」令和6年8月29日(文部科学省中等教育局長)



〇一般社団法人フリースペースつなぎ「学校に登校していない児童の居場所づくりについて」(気仙沼市)



東日本大震災から2年後の2013年2月に、「学校に行けなくなった子ども、不登校を経験した若者、並びにその親も含め、生き辛さを抱える人々に対して、安心できる居場所作りを目指し、人と人とがつながりあう中で、主体的な学びと自律的な成長を支援し、未来へと希望を育める地域作り」を目的として設立されました。代表理事の中村みちよさんよりお話を伺いました。2017年に制定された「教育機会確保法」は、不登校や生活困窮などの理由で十分な義務教育を受けられなかった子どもたちに教育の機会を保障するための法律です。保護者に金銭的な負担をかけたくないという思いから、自分に合った学びにアクセスすることを断念する子どもたちがいます。また、教員によっては負担が大きくなり心身の支障をきたすこともあります。民間の居場所への公的な支援を強化し、居場所づくりを加速させていく必要があると考えます。


💻フリースペースつなぎ

💻NPO法人登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク




〇熊本県立教育委員会「熊本県の公立学校における働き方改革推進プランについて」


2010年、「熊本県教育委員会における学校現場の負担軽減に向けた実行計画」が策定されました。2012年には、熊本県教育政策課内に特命プロジェクトチームが設置され、より実効ある施策を検討・実施することにより、教職員の負担感を軽減し、一人ひとりのゆとりを生みだすことで「夢のある教育」の実現を目指しました。学校現場の実態を把握するために、学校現場における教師の教育活動観察(1週間張りつき)や全公立学校教職員(16,310人)を対象にアンケートを実施しました。その上で、2020年には「熊本県の公立学校における働き方改革推進プラン」を策定しています。策定にあたり、県教育委員会、市町村教育委員会、学校、教職員だけでなく、保護者と地域も一体となって学校の働き方改革に取り組んだといいます。深刻な教員の多忙化を解消するためには、学校・教師が担う業務を精査・明確化し、子どもと子どもにつながる全ての方にご理解をいただく必要があります。子どもたちの日々の変化に気づくためにも、働き方改革は喫緊の課題です。


💻働き方改革(熊本県教育委員会)



〇その他

ブログ「パワハラ再発防止に向けて」(2024.3.10)

ブログ「視察報告①グローバルシチズンシップ教育」(2024.4.20)

ブログ「視察報告④インクルーシブ教育(根室市立花咲港小学校)」(2024.5.29)

ブログ「教育はいのちを輝かせる」(2024.11.22)


・宮城県立総合教育センター「不登校・発達支援について」(名取市美田園)

宮城県の子どもと子ども支える保護者・教職員を対象とした支援体制について、義務教育課にヒアリングを行った上で、総合教育センターを訪れました。現場経験のある先生方や小児科医の先生方との意見交換を行いました。子どもが困っていることに対して、大人が早期に気づいて、適切な対応を行うことが求められます。学校現場においては先生方の時間と心の余裕をうむための働き方改革を実行することが急務です。


・富谷市立富谷中学校西成田教室「東北初の学びの多様化学校の学びについて」

学びの多様化学校とは、不登校児童生徒の実態に配慮した教育課程を編成して教育を行う学校です。令和4年度に東北初の学びの多様化学校として開設された西成田教室を訪問しました。不登校の子どもは全国で34万人を超えます。国は、全国に300校の学びの多様化学校設置を目指していますが、2024年4月時点で16都道府県35校のみでした。今年度より23都道府県50校に増える見通しですが、予算や人員配置の問題からなかなか設置が進んでいません。そもそも日本の学校のあり方を抜本的に見直す時がきているのではないでしょうか。


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