4月17日に「参考人及び意見聴取」を行いましたので、ご報告します。
1.地域公共交通の現状と維持確保に向けた課題
参考人:公立大学法人宮城大学事業構想学群 教授 徳永 幸之 氏
〇1970年代がバス輸送運輸のピーク → 需要減少
→ 2002年規制緩和(小泉政権) 参入・撤退の自由化
〇地域公共交通の運営状況は自治体によって大きな差
・人口1人あたり運行経費は 数百/年 ~ 数千円/年
・収支率の多くは20%以下
〇赤字ローカル線問題
・1日1キロ当たりの利用者が2000人未満の路線
大船渡線の気仙沼と岩手県の一ノ関
石巻線の全区間に当たる小牛田と女川の間
陸羽東線の古川と鳴子温泉の間
陸羽東線の鳴子温泉と山形県の最上の間
気仙沼線の前谷地と柳津の間
〇高齢者でも増加した免許保有率
免許返納者は高いサービス水準を要求
〇従来のバス計画の問題点
減便しても運行効率が低下。増便してもコスト増はわずか。
〇地域公共交通とまちづくりの関係
・まちづくりの影響による公共交通衰退の悪循環
・日中や休日も同じ路線で間引くだけ
(利用者がいないのに遠回り、都市構造の変化、生活時間の変化との乖離)
・公平性に配慮(相反する要望を足して2で割る)すると中途半端に
青森県平賀町(現平川町)の実験
・大胆なサービス改善(増便)で利用者数が増加。
・ただし運賃引き下げにより市の財政負担
これからの地域公共交通
・使い勝手のいいサービスを適正な価格で
・公共交通事業は固定費
・移動のしにくさが活動の制約にならないように
・地区内に生活拠点が必要 短期的には難しいとしても、まちづくりと一体で
・みんなで使えばいいサービスを安く提供できる
→現利用者だけでなく、皆がまちづくりの一環として考える必要がある
・ムダやチャンスがどこにあるのか
・他の地域の成功事例が他の地域でも成功するわけではない
・公共交通輸送量は15人が採算ライン
・移動のしにくさが活動の制約にならないように
・若い世代(15-20代)をどう取り込むか
→利府町の小中学生は町民バスに無料で乗車可能(夏休み)
・全員が満足するのは不可。解消すべき条件、優先順位(料金・時間)は?
・市主導で、バス利用を促すための取り組みを
2. 地域公共交通に関する最近の動向・諸施策について
参考人:国土交通省東北運輸局(交通政策部長 池田 真 氏 / 課長 山城 佑太 氏)
〇地域の公共交通を取り巻く環境
・2050年には全国の居住地域の約50%以上減少との予測
・近隣の中小店舗の減少、病院の統廃合・移転、学校の統廃合等により、買い物、通院・通学など日常生活における「移動」の問題が深刻化。
・5万人未満の市町村は、公共交通が減り自動車が運転できないと生活できない。徒歩圏内にはコンビニ、スーパー、病院などの施設が少ない。
・自動車(バス・タクシー)の運転業務の賃金の水準低い
・人手不足が深刻化 路線バスの休廃止などの動き拡大
・平均年収
全産業平均 497万円
バス産業 399万円
タクシー業界361万円
〇平成19年制定「地域交通法」(地域公共交通の活性化及び再生に関する法律)
・令和6年1月末時点で全国905件の「地域公共交通計画」作成
・計画は行政を縛るもので、必ず実施しなくてはならない
〇地域乗合バス「独占禁止法特例法」の概要
・地域の基盤的サービスを提供する乗合バス事業者と連携した取組等により経営力の強化・生産性の向上等を図り、将来にわたってサービスの提供の維持の実現するため、国土交通大臣の認可を受けた共同経営(カルテル)に関する独占禁止法の特例等を定める(令和2年11月施行)
・共倒れしないように
① 運賃・料金の設定
② 路線等の共同・分担運行
③ 運行回数・運行時刻の設定
〇地域の公共交通リ・デザイン実現会議
〇県に求める役割 → 県と市町村をつなぐ・バリアを緩和(地方運輸局へ相談を)
・定住自立圏
中心市と近隣市町村が自らの意思で1対1の協定を締結することを積み重ねる結果として、形成される圏域のこと。隣町との交通に関する情報交換を行い、連携を図ることも可能。
・私案
大衡村半導体工場の誘致や富谷市の新たな工業団地の整備により、人流が変化する。各市町村で交通施策を検討するのではなく、黒川4圏域(富谷市・大和町・大郷町・大衡村)で早期に検討してはどうか。
→検討を行った時期あり(市に確認)
「核となる都市のない地域での水平的な連携の取組」
「富谷市都市・地域総合交通戦略策定調査」(令和2年10月~令和3年3月)
〇「みんなと湊まちづくりネットワーク」(事例紹介)
福島県会津若松市湊町で住民主体の地域づくり活動を行うNPO法人。市職員も勉強会に参加。
3. 路線バスの現状と今後の方向性
参考人:宮城交通株式会社 代表取締役社長 青沼 正喜 氏
・宮城交通は仙台圏の路線バスを4月1日から減便、郡部は除く
(平日で3・1%減、土休日で3・9%減)
・不採算であっても路線を守ってきた。
・全国的に運転士不足が続いている。
2024年:運転者数108,000人 ←必要人員129,000人
労働時間 186時間(全産業平均 176時間)
年間所得額 404万円(全産業平均 489万円)
→給与水準が上がることが大切
平均年齢 53歳 (全産業平均 43.4万円)
→運転手を確保できないと乗合は減便・廃止、貸し切りは受注制限
・国に対して、赤字路線に対する補助金の算定根拠となる基準単価の見直しを求めている
→満額補助ではないため、事業者に多額の負担が生じている
・輸送人員(路線バス+高速バス)は45年で約80%減少
→利便性維持のために削ることはしない
・乗り合いバスは利益出ない(最低限の運賃)
・事業者が倍増し過当競争に突入(高速ツアーバス乱立)
・路線の再編と効率化が必要
官民共創
① バス会社は少しでも運賃転嫁して、労働条件改善の努力をする
② 官民で路線バスとデマンドを融合させる路線政策を打ち出す
③ 同時に自治体は、小型バス導入などバス路線維持のための支援策を検討
→昔からの制度設計 → 規制緩和へ
④ 営業所の配置見直しと、まちづくりを同時に行う
⑤ 自動運転に移行(試行運転で止まっている)
◎まちづくりを中心に考える
◎都市整備局は、交通政策(バス)の研究を
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