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【ご報告】第395回県議会令和7年2月定例会一般質問

執筆者の写真: しずか 平岡しずか 平岡

更新日:3月11日

2月20日(木)一般質問に立ち、大綱5点より11題の質問を行いましたので、ご報告いたします。なお、登壇を終えての所感と今後の課題についても、あわせてご覧ください。


大綱一「多文化共生推進事業について」


要 旨

2015年 

国連「持続可能な開発2030アジェンダ」(SDGs)採択


2021~2024年度

「新・宮城の将来ビジョン実施計画」(前期)

SDGsの基本理念「誰一人取り残さない」を反映

2025~2027年度

「新・宮城の将来ビジョン実施計画」(中期)


💻新・宮城の将来ビジョン実施計画


政策の基本方向1

「富県宮城を支える県内産業の持続的な成長促進」

・外国人材の確保・定着に向け、インドネシアをはじめとした外国人材の受入促進に向けた県内企業とのマッチング支援や日本語教育の体制整備等を行う

・外国人材の受入れや産業拠点形成をすすめるための環境整備に取り組む


年1.24%の経済成長維持に必要な外国人労働者数の試算(JICA研究所)

2030年 420万人 → 2040年 688万人

※2023年10月の外国人労働者は205万人


質 問

宮城県では、2030年までにどの程度の外国人材を受け入れ、それに伴い、どのように社会が変化していくと予想するか。


答 弁(知事)

現在、宮城県の労働者数は約2万人。JICA推計では2030年の必要数は34,000人とされ、人手不足は更に深刻化していく。県では優秀な外国人を送り出していただくことを目的に、ベトナム、インドネシアに続き、昨年末には、自ら渡航し、カンボジア政府と協力覚書を締結し、協力関係の構築を図った。

来年度は、引き続き送り出しのポテンシャルが最も高いインドネシアに注力し、企業の採用を確実にするため、求人を詳細に把握し、現地の送り出し機関と企業とのマッチングにつなげる、大規模なジョブフェアを県内で実施することで、外国人材の受入れを考えている企業のニーズにしっかり応える。

将来的に、外国人材が県内産業の一役を担う社会へと大きく変化していくと考えており、多文化共生計画に掲げた、生活や防災情報のプッシュ通知等を行うアプリ開発や、「攻め」の多文化共生と外国人材の更なる活用を、(知事が)先頭に立って推進する。


要 旨

現在、宮城県では県民の1.2%にあたる外国人が在住。外国人支援を行う方々の存在があってこそ、言語も文化も異なる私たちが共に暮らすことができている。「第4期宮城県多文化共生社会推進計画」(2024~2028年度)では、市町村に対して、外国人県民に最も身近な行政機関として、生活に密着した支援を主体的に行う役割を求めている。


💻第4期宮城県多文化共生社会推進計画


質 問

外国人県民が、地域への適応力を高めるためには、言葉の壁を解消することが必要。今後、全市町村に対して「やさしい日本語」の研修の実施を推奨してはどうか。


💻東京都多文化共生ポータルサイト



〇事前調査

・2024年10月「江戸川区多文化共生センター」開設

・みやぎ県民大学講座「共生社会を考える~多文化共生やさしい日本語セミナー~」


答 弁(知事)

やさしい日本語は、難しい熟語や言い回しを言い換える表現。日本語に不慣れな方との相互理解を深める大変有効な手段。県では、現行の多文化共生計画において、やさしい日本語の普及を重要課題と位置づけ、県主催により、希望する市町村(過去5年間で7市町)で市町村職員や地域住民の方向けに、行政窓口や観光案内で活用できる研修を行ってきた。県内在住の外国人の人数は、今後も増加していくと見込まれることから、今年度は、新たに地域の相談役で民生委員・児童委員等を対象に、研修会を行った。来年度は、防犯ボランティアや外国人を雇用している企業に加え、業界団体等へも拡充していく。県主催では限りがあることから、各市町村とも研修のノウハウを共有し、全市町村が独自で研修会を行っていただけるよう積極的に支援する。


要 旨

「第4期宮城県多文化共生計画」では、外国人材が県内で活躍することが見込まれることから「攻め」の多文化共生が求められるとある。日本が選ばれる国となるには、現行の枠組みの中では限界があることから、国会におけるさらなる議論が求められる。知事が土葬墓地をつくる検討を開始すると発表した直後から、全国からは反対の声が寄せられた。


教育、政治参加、差別禁止が低い水準
教育、政治参加、差別禁止が低い水準

💻MIGRANT INREGRATION POLOCY INDEX


高度経済成長期に入り、自治体に火葬場が整備されたことや、若者の流出により地域の支え合いで行われていた土葬が衰退したことから火葬率が上昇


〇事前調査

・ジャパンダアワセンター(大阪)

実際に行われた土葬の映像を見せていただき、イスラム教徒(ムスリム)の死生観や葬送に込められた意味について教わった上で、日本人ムスリム、僧侶、宗教社会学の研究者をまじえて意見交換を行った。

・「宮城イスラム国際共同霊園をつくる会」


質 問

土葬が土壌や水質に及ぼす影響の有無に対する県の見解を求める。


答 弁(知事)

土葬墓地については、多くの御意見やお問い合わせを県にいただいており、土葬が土壌や水質に及ぼす影響について心配される声も多数お受けしているところ。現在行っている調査においては、土葬墓地における周辺環境への土壌や水質に影響を及ぼした事例は、これまでのところ確認されていない。外国人だけでなく日本人も含めたすべての方が最後まで安心して暮らせる環境整備として、引き続き、土葬墓地についての調査を行い、周辺環境への影響も含め、課題等を整理の上、今後の対応を検討する。


所感と今後の課題

1.育成就労制度の創設に向けた対応について

「外国人技能実習制度」が廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されることが2024年に閣議決定された。一定の条件がそろえば転籍が可能となり、都市部への人材の流出が懸念される。現在、円滑な施行と運用に向けて、厚生労働省を中心に検討が重ねられている。今後、新しい制度の中で、地方が選ばれるためには、自治体でも検討すべき点が出てくる。しかし、今回取り上げたムスリムのための「土葬」についても、各地域が判断するには限界があるのではないかと考える。資料にある通り、平成12年の厚生省通知「墓地経営・管理の指針等について」の時点では、国際化に対応する墓地のあり方について、国レベルでの議論はなされていない。再質問の中では、「土葬」に限らず、国レベルで議論すべきことはないかを問うた。


2.土葬について

今回、事前に時間をかけて調査を行ったのは「土葬」についてである。古代から近代にかけて史資料にあたり、日本の葬送の歴史の整理を行った。民俗学者の柳田国男氏が1937年に刊行した『葬送習俗辞典』を読むと、日本社会が失った風習を知ることができる。例えば、滋賀県の記録によると、納棺の前に、亡くなった親の膝を折るのが、息子ができる最後の親孝行とされていた。かつては遺体の処理と死者を送る儀式は、ひとつながりの営みであったが、現在はセレモニーとして切り離されている。「多文化共生社会」の実現のためには、まずは自国理解や死生観の探究が求められるのではないか。今回、土壌や水質への影響についてのみ質問に取り上げたのは、議論の俎上に載せるほど、私たち日本人の下地作りができていないと考えたからである。丁寧な議論を積み上げ、県民とムスリムの間で答えを見出すことを願う。


要 旨

仙台市教育委員会では、英語を核とした小中一貫の新教科「国際探究科(仮称)」の新設をめざす。外国籍や海外で育った児童生徒が増加する中で、異なるルーツをもつ者同士が多様な価値観に触れ、柔軟な思考を身に付けられることが期待される。グローバル教育は、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶもので、生きていくうえで必要な資質や能力を育成するこができる。地球市民として地球規模の課題の解決に取り組むグローバル・シチズンシップ教育(地球市民教育)を行うことは多文化共生社会の実現にもつながる。


〇事前調査

・仙台市教育局


質 問

仙台市の動向に対する教育長のご所見と県立高校における取組について答弁を求める。


答 弁(教育長)

地球規模の課題の解決に取り組むグローバル・シチズンシップ教育は、多様な文化、習慣、考え方を尊重する、多文化共生社会の実現にとって重要であると認識。仙台市教育委員会が計画している、小中一貫の新たな教科については、英語を核として、児童生徒が多様な文化や価値観への理解を深めるなど、国際化が進む現代の社会において意義のある取組であると捉えている。現在、県立高校では、持続可能な開発目標「SDGs」と関連付け、海外の高校と協働した探究学習や、生徒が諸外国の立場に立って国際的課題について議論する模擬国連活動などの、グローバル・シチズンシップ教育に取り組んでいる。引き続き、生徒の国際的な視野を広げる教育活動に取り組み、国籍や性別を問わず、多様な主体と連携して、持続可能な国際社会づくりに参画できる人材の育成に努める。


💻GCED: Global Citizenship Education(地球市民教育)について(文部科学省)


大綱二「観光客と住民の共生について」


要 旨

〇観光庁(2008年発足)

・基本理念:住んでよし、訪れてよしの国づくり

・2030年訪日外国人旅行者数を6,000万人、消費額15兆円目標

→宮城県はインバウンドの全国シェアが0.5%と低調。観光の魅力の創造と観光基盤の強化のためにも、今年11月から導入される宿泊税が効果的に活用されることが期待される。


💻観光庁


〇宮城県

2025年4月~「第6期みやぎ観光戦略プラン」(3年間運用)

基本理念

「地域が主役となる持続可能な観光地域づくりを通した‛‛All round’’な観光地の実現」

2027年 外国人観光客宿泊者数120万人泊目標(現在の倍)

→「みやぎ観光創造県民条例」(2011年施行)に基づき、県、県民、観光事業者及び観光団体などが各々の役割を認識し、県民総参加で観光地域づくりを推進していく。


💻みやぎ観光創造県民条例


💻みやぎ観光戦略プラン・実施計画


質 問

観光客と住民の双方が満足できる観光地づくりを進めるために、まずは観光振興の意義について県民にご理解いただくことが必要ではないか。


答 弁(知事)

みやぎ観光創造県民条例では、県民の役割として、観光王国みやぎの実現の意義への理解と、地域における観光振興の取組への参画を掲げている。これまでも、高校や大学等における本県観光の現状や施策に関する講義のほか、シビックプライドの醸成や観光人材育成に関するセミナーの開催などを通じて、観光振興に対する理解醸成に努めてきた。現在、策定中の「第6期みやぎ観光戦略プラン」においても、住民や観光事業者などが一体となった、「関係者全員参加型」で魅力ある観光地域づくりを進めていくこととしている。県政だよりなどの多様な媒体を活用した、観光振興による地域経済や雇用に対する効果の周知や、観光人材の育成、学生等を対象として出前講座の実施に加え、デジタル身分証アプリを活用した、観光施策のPRや、県民を対象とした地域への満足度、必要な観光振興施策等に関する意識調査の実施などにより、観光振興の意義や観光産業の重要性への理解、郷土への愛着や誇りの醸成を図る。


要 旨

最終案では「みやぎの観光の現状・課題」として、都市部への一極集中が指摘されているが、外国人観光客が「訪れてよしの宮城県」と評価しない理由は何か。外国人観光客の目線に立った分析を行い、観光対策を講じていただきたい。

英語によるガイドブックとして世界一のシェアを誇るLonely Planet Japanには、全768頁のうち東北については62頁にわたって掲載されている。巻末では、LGBTQ+の旅行者向けの特集が組まれており、安心して過ごせる地域について紹介されていた。JNTO(日本政府観光局)の外国人観光客向けの公式ウェブサイトでは「都市部と地方では意識の差があるものの、日本文化に対して配慮をすれば旅行者が心配することはほとんどない。」という見解を示されている。


💻Japan travel guide – Lonely Planet |Asia


💻LGBT Friendly Japan(JNTO)


質 問

性的少数者が安心・快適に旅行を満喫していただくために、観光地としての環境整備が求められるのではないか。


答 弁(経済商工観光部長)

現在、策定中の「第6期みやぎ観光戦略プラン」では、「All-round」な観光地の実現を掲げ、多種多様な方々が集う観光地を目指すこととしており、性的少数者も含めた多様な旅行者の受入環境の整備は、重要であると認識している。性的少数者への社会的認知の高まりにより、「LGBTQ+ツーリズム」は、今後、世界的に市場の拡大が見込まれているため、国内でも、大阪観光客において、旅行者のニーズや接遇等に関するセミナーの開催や専用観光情報サイトの開設など、性的少数者の旅行者受入れの基盤作りに積極的に取り組んでいると伺っている。今後、性的少数者が安心・快適に旅行を満喫できるよう、観光関係団体等との意見交換を行い、現状の把握に努めるとともに、先行事例の研究を行いながら、「All-round」な観光地の実現に向けた効果的な環境整備を図る。


💻LGBTQフレンドリー推進施策(大阪観光局)


💻「ベジタリアン・ヴィーガン ムスリム LGBTQ 受入対応促進セミナー」(観光庁)


所感と今後の課題

国際旅行の10分の1がLGBTQの旅行者を占めるとされる。LGBTツーリズム旅行市場規模は世界全体で2020億ドル(22兆円)である。日本においても伸びしろがある分野だ。旅行先で自分らしくいられるように、安心・安全の環境整備を期待したい。同時に、日本人にとっても住みやすい環境につながることを願う。今後、先行自治体の調査を行う。


大綱三「地域共生社会の実現に向けて」


要 旨

今年6月1日より改正刑法が施行され拘禁刑が新設される。現在、県では4月から5年間運用される「第二次宮城県再犯防止推進計画」の作成が進められている。宮城県では、「地域における包摂的な支援」を重点課題とし、市町村の「再犯防止推進計画」の策定支援を通じて、県・市町村が一丸となって再犯を防止する体制の整備をめざすとしている。再犯に至る方の多くは住居や就労などの面で福祉的支援を要する傾向があるが、通常の福祉の枠から外されている。対象者が地域で受け入れられ自治体が分け隔てなくサービスを提供するうえでも作成が必要。


💻「宮城県再犯防止推進計画」


質 問

2030年までの目標である30市町村における作成を進めるための対応策について説明を求める。

※2024年4月1日時点で15市町が作成

仙台市、石巻市、塩釜市、気仙沼市、名取市、角田市、多賀城市、栗原市、東松島市、大崎市、大河原町、亘理町、山元町、七ヶ浜町、南三陸町


〇事前調査

・宮城刑務所参観(法務省)

受刑者の改善更生と円滑な社会復帰に向けて、更生プログラムの見直しが図られている。

・更生保護法人宮城東華会

・宮城県地域生活定着支援センター

・「宮城県再犯防止推進懇話会」傍聴


答 弁(保健福祉部長)

再犯を防止するためには、矯正施設出所者等が孤立することなく、地域の一員として定着できるよう、地域社会における受入環境を整備することが重要。また、矯正施設出所者等の中には、福祉的な支援を必要とする人もいるため、地域の実情を踏まえつつ、福祉的な視点も取り入れながら、必要なサービスや支援を提供できる体制を構築することも必要になる。再犯防止に向けては、基礎自治体である市町村の取組が極めて重要になることから、現在、策定を進めている。「第二次宮城県再犯防止推進計画」では、新たに市町村再犯防止す伸計画の策定数を目標値として設定することとしている。市町村職員を対象に、矯正施設の見学の機会を設けることや、関係機関とのネットワーク構築、勉強会の開催などを通じて、再犯防止推進への理解の促進と、再犯防止計画策定に向けた機運醸成を図ることにより、目標達成に努める。


要 旨

目と耳の両方が不自由な「盲ろう者」について取り上げる。「みやぎ盲ろう児・者友の会」によると「夜の海の底に沈められたような孤独な状態」にあるという。2023年度、社会福祉法人全国盲ろう者協会が実施した調査によると「盲ろう者通訳・介助員派遣事業」の年間可能時間を240時間と設定している都道府県は宮城県を含む15道県にとどまる。240時間は平均すると1月20時間、1週間で5時間である。時間制限は障害者の社会参加を困難にしている。


〇事前調査

・「東京盲ろう者支援センター」

石原慎太郎知事の時代、盲ろう者の福島智教授の働きかけにより支援が拡充。センターでは、生活に必要な技術や知識を学ぶ訓練や相談事業が行われている。また、社会参加を促すために、毎週交流会や学習会が開催されている。令和6年度、東京都では、840名の「盲ろう者に対する支援センター等事業」として189,371,000円の予算がつけられている。

・宮城県聴覚障害者情報センター(みみサポみやぎ)と宮城県保健福祉部障害福祉課より宮城県の支援体制について調査。


質 問

「みやぎ障がい者プラン」の基本理念は「だれもが生きがいを実感しながら、共に充実した生活を安心して送ることができる地域社会づくり」である。宮城県においても派遣事業の年間可能時間の見直しが必要ではないか。


💻みやぎ障がい者プラン(令和6年度から11年度まで)


答 弁(保健福祉部長)

仙台を除く県内で、視聴覚障害と聴覚障害の両方に該当する身体障碍者手帳を持つ方は、昨年3月現在で77名となっており、そのうち特に重度の障害がある9名が、県の「盲ろう者通訳・介助員派遣事業」に利用登録されている。県では、養成事業と派遣事業を通じて、必要な知識や技術を習得した「盲ろう者通訳・介助員」を養成・登録し、盲ろう者のコミュニケーションと移動支援のため、必要に応じて派遣している。年間利用可能時間は、仙台市と同一となっているが、障害の状態やお住いの地域における交通機関の状況など、課題があることは承知している。引き続き盲ろう者団体との意見交換を行うほか、市町村や関係機関と情報共有しながら、派遣事業の実施方法について検討する。


所感と今後の課題

盲ろう者について宮城県議会で取り上げられるのは初めてのことであった。東京都では、手厚い支援がなされているが、スイスやスウェーデンと同規模の予算であるからこそ実現できることである。宮城県の財政状況を理解した上で、今後も当事者の声を聞き、支援の拡充につなげられるように取り組む。


大綱四「動物との共生について」


要 旨

2021年度より10か年計画として見直された「宮城県動物愛護管理推進計画」は、人と動物が真に共生できる社会の構築を目指している。2030年度には犬及び猫引取り数を年間800頭と設定。昨年度時点で793頭となり目標が達成された。譲渡返還が行われた一方で380頭が殺処分されている。2024年度に開催された「宮城県動物愛護推進協議会」において「殺処分を減らすためには不妊去勢手術が重要だ。他自治体では、県動物愛護センターを集約した際に不妊去勢専門の部署をつくり手術を実施しているところもある。」というご意見が寄せられた。県からは「公務員獣医師が減少傾向にある中、県動物愛護センターで実施することは難しい。」との回答があった。


質 問

食の安全確保、動物や人の健康保護等において大きな役割を果たしている公務員獣医師の確保が全国的に困難である。宮城県における対策について説明を求める。


答 弁(環境生活部長)

県職員の獣医師は、獣疫衛生や食品衛生、家畜伝染予防、畜産振興など、獣医師としての専門性が欠かせない業務に従事しているが、近年、採用試験受験者数の低迷により、県職員獣医師の減少が顕著となっている。県では、受験者を安定的に確保するため、給与面の処遇を改善するとともに、教養試験を廃止して受験しやすくするなど、獣医学性が県を就職先に選んでもらえるよう取り組んできた。また、昨年度からは獣医学性を会計年度任用職員として短期間雇用し、実際の業務に従事しながら県職員獣医師の仕事を身近に感じてもらう取組を始め、加えて今年度からは、県職員獣医師をPRする動画を作成しユーチューブでの配信を開始したところ。今後はさらに様々な広告媒体を活用し、一般的にはあまり知られていない県職員獣医師の仕事に対する理解を広めるとともに、学生だけでなく転職を希望する社会人への積極的な働きかけを行うなど、一層の獣医師確保対策に取り組む。


💻【宮城県職員(獣医師)募集動画】まもる。つなぐ。宮城で獣医師!


令和7年度の動物愛護推進事業の予算拡充へ(予定)

ミルクボランティア制度など犬猫の殺処分提言を通じた動物との共生社会の推進

17,568,000円→24,600,000円


要 旨

「動物の愛護及び管理に関する法律」第38条では、「都道府県は、地域における犬、猫等の動物の愛護の推進に熱意と識見を有する者のうちから、動物愛護推進員を委嘱するよう努めるものとする」と定められている。県では、令和2030年度には100名の委嘱をめざしているが、2024年7月時点で48名である。地域の中で行政と民間の協働を促すためにも推進員の活動が期待される。


質 問

動物愛護推進員の数値目標達成に向けた、今後の取組についてご説明を求める。

〇事前調査

・「宮城県動物愛護センター」(富谷市)

・宮城県公務員獣医師


答 弁(環境生活部長)

県では、地域における犬・猫等の動物愛護及び適正飼養を推進するため、新たな飼い主探しの助言や、しつけ方に関する相談対応等を行っていただくボランティアとして、動物愛護推進員を先月末時点で49名委嘱している。これまで動物愛護推進員の知識の取得やスキル向上のため、他党飼育問題に関する研修会等を行ったほか、推進員の増員に向け、県獣医師会への働きかけを行ってきた。今後は、計画に掲げた数値目標を達成できるよう、県の動物愛護施策に御協力をいただいているミルクボランティアや研修会参加者への積極的な働きかけを通して、動物愛護推進員の増員を図る。


※ 猫の譲渡会(令和7年4月20日)


大綱五「宮城県いじめ防止対策推進条例」


要 旨

〇2023年度の宮城県のいじめ認知件数(文科省調査)

・14,722件(前年度より78件増加)

・重大事件の発生件数は28校において30件

〇2024年小中高生の自殺者数

・過去最多の527名(暫定値)

・原因・動機の44%が「学校問題」

〇県教育委員会

「全ての児童・生徒にとって『魅力ある・行きたくなる学校』をめざす」ために、学校において「子供が互いに認め合う学級づくり」と「子供の声を聴きほめ・認める授業づくり」を目指す。

→教員は多岐にわたる業務を担うため、実際は、教員の本丸である教科指導や生徒指導に集中することは困難

〇2023年度精神疾患を理由に休職した教員

・過去最多の7,119人(公立小中高と特別支援学校)

・全国の教育委員会の認識では、「児童生徒への指導」や「職場の対人関係」を多くの要因として挙げている。

→子どもたちの日々の変化に気づき、教員同士が協力し、チーム学校として対応していくためには、先生方が健康な心身を維持できる職場環境の整備が求められる。

〇「宮城県いじめ防止対策推進条例」(2018年公布)

第15条において、県教育委員会は「調査研究及び検証を行うとともに、その成果を普及するもの」と定められている。


質 問

いじめを解決するためには、早期発見と丁寧な初期対応が重要である。県教育委員会は、学校現場における現状についてどのように検証されているのか。


答 弁(教育長)

いじめの防止やその解決のためには、児童生徒の小さな変化を見逃さないよう、日常の観察や教員間における情報共有が大切であり、そのためには、教員が、心身ともに健康で、児童生徒と向き合う時間を十分に確保できることが重要であると認識。一方、学校においては、正規の勤務時間外における在校等時間が月80時間を超える教員や、精神疾患による病気休職者も一定数いる現状がある。県教育委員会としては、「教職員の働き方改革に関する取組方針」を策定し、教職員が健康でやりがいを持てる職場環境づくりに取り組んでいる。また、教職員のメンタルヘルス対策として、ストレスチェックのほか、各種研修会の開催や、公立学校共済組合と連携した、カウンセラー等による相談事業などを行っている。県教育委員会としては、教員が、いじめの早期発見・早期対応をはじめとした生徒指導や教育相談に、十分に力をはっきできるよう、引き続き、学校現場の状況を把握しながら、職場環境の整備に取り組む。


所感と今後の課題

令和6年3月に県内の小中高生29,930名を対象に実施したこどもアンケートでは、「いじめ」について課題であると感じている児童生徒たちがいることがわかる。現場の先生方によると、学校内でトラブル(いじめ・教員間のハラスメント等)が発生した際、管理職が保身に走り、先生方を矢面に立たせたり、隠蔽したりしていることがあると聞く。新年度を前に、管理職を中心に、早期発見・早期対応に向けて取り組むように、教育長から伝えていただきたいという旨をお伝えした。子どもたちを支える教職員のメンタルヘルスケアのために、働き方改革や職場環境改善について調査を継続し、今後も議会で取り上げていく。


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