昨年9月6日~8日、福島県の大熊町、双葉町、浪江町、楢葉町を訪れました。現地では、経済産業省・資源エネルギー庁の木野正登さんにご案内いただきました。木野さんは、原発事故直後から福島に入られ、廃炉事業に携わって来られました。原子力に長く携わった者として、廃炉を進めることがご自身の責任の取り方と考え、退官後も廃炉に関わり続けたいと言います。震災発生から12年経つ現在も、現地の方々と共に復興の歩みを進めておられます。
私はもともと原発に対して消極的な考えでした。福島の子どもたちが、放射能を計る線量計を首から下げて過ごしていることを知り、常に不安にさらされながら生活しているのかと思うと歓迎はできないと思いました。しかし、昨年、実際に福島第一原子力発電所や中間貯蔵施設への訪問、復興に携わる方々との意見交換を通し、福島の「現実」を知ることができました。本当に11年が過ぎたのだと、感情を超えて現実に引き戻されました。このような気持ちになれたのは、復興を前へ進めるため、福島の方々の心に寄り添い続ける木野さんの存在が大きかったと思います。
さて、本日、午後1時頃から処理水の海洋放出が行われます。廃炉作業を進める上で、処理水の処分が必要だといいます。政府は関係者の合意を得ない限り、海洋放出はしないとしてきましたが、漁業者側の反対を押し切って実行に踏み切ります。次に懸念されることは水産物への風評被害です。「政府」はその対策を考えているようですが、福島の復興に誠心誠意込めて最後まで関わり続ける政治の姿を期待したいです。
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