3月下旬、宮城県畜産試験場と宮城県林業技術総合センターの視察を行いましたので、ご報告いたします。
1.宮城県畜産試験場(大崎市岩出山)
知事部局の農政部には、畜産課(企画管理班、草地飼料班、生産振興班)、家畜保健衛生所(大河原・仙台・北部・東部)、畜産試験場が組織されています。今回視察した「畜産試験場」では、以下の業務を行っています。
●家畜の改良増殖や優良種畜の選抜調査
●畜産農家や団体に対する生産技術指導や検査
●家畜に関する先端技術の研究開発
(生産性向上、畜産環境対策、畜産物の品質向上)
💻全国に占める宮城県畜産の位置(令和5年2月現在)
今回の視察では、組織の沿革や概要、試験研究と予算、研究成果等についてお話を伺いました。117ha(牧草地64ha)の敷地内に研究施設や畜舎があり、乳用牛79頭、肉用牛58頭、豚461頭(令和5年2月現在)が飼育されています。宮城県の仙台牛をはじめとした畜産を支える研究機関としての役割を果たしています。業務内容を考えると、正規職員の数が減少している点が懸念されますが、ICT機器を活用して負担を軽減する試みを行っているそうです。(例:昼間分娩誘起等)
施設の老朽化対策も段階的に進められています。農業者にとって働きやすい環境、アニマルウエルフェア(家畜福祉)の観点も考慮に入れた施設の整備を期待します。宮城県の畜産従事者を支え、畜産業界を盛り上げていく上でも重要な機関です。研究予算が削減されることがないよう、県に働きかけてまいります。
2.宮城県林業技術総合センター(黒川郡大衡村)
「みやぎ森と緑の県民条例」制定(2018年)
宮城県の県土の57%を占める森林は、多面的機能を有し、県民生活にとって次世代へ継承すべき貴重な財産です。森林の整備・保全が持続的に行われるように、森林づくり・林業・木材産業の振興を担う人材の育成を図る必要があります。
今回視察した「宮城県林業技術総合センター」の基本方針と業務は以下の通りです。
≪業務推進基本方針≫
●県民生活の向上と森林・林業及び木材産業の振興
●東日本大震災以降は、復興に寄与する試験研究等の業務を最優先として、復興を技術面から支える試験研究、海岸林の再生に必要な種苗の確保などの課題を重点的に推進
≪業務の柱≫
●林業試験研究の推進
●林業種苗の開発と安定供給
●林業技術の普及指導と人材育成
今回の視察では、宮城県の森林・林業の現状と課題に対する試験研究・事業、令和2年に設立した「みやぎ森林・林業未来創造機構」の概要、令和4年に開校した「みやぎ森林・林業未来創造カレッジ」についてお話を伺いました。
102.77haの敷地内には、研修棟・研究棟、実習舎、木材利用加工実験棟などがあります。今回は、ミストハウスを見学しました。ミストハウスは、選抜した優れた系統の親木より採取した穂の発根に必要な水分と湿度条件を人工的につくり出す施設です。
また、特に注目したのが「無花粉スギ」の開発です。「国民病」とも呼ばれる花粉症は、日本経済にも打撃を与えているとされ、国会でも取り上げられたことがあるほどです。今回、30年後のスギ花粉発生量半減に向けた取組について詳しく教えていただきました。研究に情熱をかけておられる職員の方からのご説明を受け、今後の成果への期待感が高まりました。
昨年10月には一般公開し、ワークショップの開催や林産物の販売が行われました。ぜひ県民の皆様にも、センターが果たす役割についてご理解いただけると幸いです。今年度の開催が決まりましたら改めてご案内いたします。
Comments