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執筆者の写真しずか 平岡

カンボジアで出会った子どもたち

更新日:2023年7月30日

「マネー、マネー。」

赤ちゃんを抱いた小さな子どもが、私に向かって手を伸ばして来ました。大学4年生の夏休みに訪れたカンボジアでのできごとです。動揺を隠せず、ただ立ちすくんでいる私のもとに、子どもたちが集まって来ます。次の一歩を踏み出すことが辛かったです。これが貧困について考える最初の体験となりました。カンボジアでは、極端な共産主義を掲げたポル・ポト政権の深い爪痕が依然として残っていました。政権下では、教育は資本主義を教える元凶であると捉えられ、教師や専門家といった知識層が大量に虐殺されました。1970~1990年代の内戦と混乱の時期を生き抜いた子どもたちは教育を受けておらず、親になった後も、自分の子どもは家計を支える働き手であると捉え、学校へ通わせる必要性を感じていないのです。



カンボジア滞在中、シェムリアップにあるプレスクールでお手伝いをする機会をいただきました。プレスクールには、学校側の説得に応じたご家庭の子どもたちが、週に数回だけ通ってきています。私は、この時に出会った子どもたちが、熱心に学びに向かう姿を見て驚きました。人間に本来備わっている、学びたいという欲求で、教室は熱気に溢れていました。授業の様子が気になっている子どもたちが、高床式の校舎によじ登り、教室をのぞいている姿も印象的でした。





カンボジアを訪れてから、まもなく15年が経とうとしています。ふと、当時の子どもたちのことを思い出す時があります。日本を含む、世界中の子どもたちが、生まれた国や置かれた環境にかかわらず、安心して成長できる世界を実現したいです。



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